本物の猟師

最近は狩猟の話題が少々多めですが、本日も狩猟に関するお話です。

昨年の狩猟免許試験に合格しただけでは、まだ正式に猟師として認められた訳ではありません。まず、地元もしくは知人の紹介によって猟友会に所属し、自分が狩猟を行う地方自治体に狩猟者登録を行って初めて狩猟を行うことが認められます。さらに、獣害駆除などの依頼を受けられるのは3年以上経験を積んだ猟師に限られます。まだ私は狩猟者登録をしていないので、今年の11月15日から始まる次の猟期から猟師一年生となります。

猟期というのは、原則11月15日から翌年2月15日までのことで(北海道は10月1日から翌年1月31日)その間だけ狩猟を行うことが許可されています。

次の猟期が始まるまでに地元の猟友会に入れてもらうために、知人を通じて北葛城支部の支部長さんを紹介して頂きました。

さっそく電話をして諸事情をお話させて頂くと、『そういうことなら家に来なさい』と言って頂きお宅にお邪魔することになりました。

香芝市内にあるお宅を位置情報を頼りに探していると、車の荷台に狩猟の教本や雑誌で見たことのある金属の箱や檻が積んであるお宅を発見したので、間違いなくこのお宅だなと車を停めました。

すると、私の父と同じ世代かなと思われる少し小柄な男性が出迎えてくれました。まさしくこの方が、私がお会いしたかった支部長さんでした。

どうして私がこの支部長さんにお会いしたかったかと言いますと、知人を通じてこの方の話を聞かされていました。『猟友会のお師匠さんと呼ばれている方で、お歳はすでにおじいちゃんと言っても良いお歳にもかかわらず、猟銃を片手に猟犬と共に山に入り、一人で数十キロのイノシシを仕留めて担いで山を降りてくる、そんな人がいてるんです。』と。

さっそく、お宅にお邪魔させて頂き猟友会の仲間にして頂きたい旨をお伝えすると快く『若い人が来てくれて嬉しい。』とおっしゃってくださいました。これは全国的なお話になりますが、現在は猟師の高齢化と若手不足が問題になっており、深刻な農作物の獣害対策が困難になりつつあるようです。

奈良県内でも同様で、私のような社会人としては中堅にあたる世代でも、猟友会に入るとかなりの若手に入るようです。

支部長さんは二十歳頃から狩猟をされているそうで狩猟歴は約50年の大ベテランです。猟犬を調教することにも長けておられるようで、6匹の猟犬と共に狩を行っていた時期もあったようです。そんな猟犬も今は最後の一匹を残すのみとなり、私はその猟犬に会わせて頂きました。犬は私も飼育の経験がありますが、大半の犬は尻尾を振りながら人に近寄っていくか、ワンワン吠えて大騒ぎするかのふた通りが多いのですが、この子は少し様子が違いました。じっと私を見据えて品定めをしているかの様でした。そっと手を差し伸べると、スッと一歩下がる仕草をし、私が知っている犬の反応とは違っていました。もちろん可愛らしいお利口さんな犬であることに変わりはないのですが。私も猟犬として犬を育ててみたいなと思いました。

かれこれ2時間近くお話をさせて頂き、お宅を失礼しました。その際に、料理を色々試してみなさいと、イノシシの肉を分けて頂きました。

狩猟の世界はまずお師匠さんを見つけなさいと言われていますが、私は幸運にも素晴らしいお師匠さんに出会うことができました。今年から猟師一年生としてよろしくお願いします。